半田市と常滑市を設立団体とする知多半島総合医療機構が設立されました。先日、半田市民病院が知多半島総合医療センターに姿が変わりその内覧会に参加してきました。
車で目的地に向かうのんびりした田畑が広がる高台に、新名称が掲げられ超然とした現代の大きな建造物が現れました。外来のロビーは間接照明が施され、まるでホテルの受付に来たような落ち着いた雰囲気であり、しばらく見惚れてしまいました。このセンターは主に急性期医療を担うとされ、CT、MRIを始め放射線画像装置はすべて最先端であり、内視鏡室には新調されたファイバースコープと大きな画像モニター、ICUも各種生体モニター、手術室には支援ロボットも備わり圧倒的な物量の設備に対し、私はただ吐息しか出ませんでした。地下には地盤が1.5m動いても傾かない免震構造が採用されています。積年の海風に耐えた半田市民病院はかなり老朽化していたようで、この新棟の竣工を心待ちにしていたでしょう。私も建て替え前の旧中央病院に思いをはせました。
現代の医療はほとんどIT、電子化されているといっても過言ではありませんし、もう後戻りは難しいです。診療は医療者の技術よりもデバイスの善し悪しに依る所も大きいでしょう。今後は少子高齢過疎化による人材不足を集約化とともにITやDXなどで補う必要があり、高額な初期投資が必要で機器更新の維持費も嵩みます。ロートルになりつつある私には、現代医療は何処まで行くのか、日本は持ちこたえられるのかと言う思いがあります。
新美教弘(中央病院長・小児外科医師)