駅の思い出

 自宅最寄り駅が最近無人駅になりました。そこそこ利用客も多いのに、人手不足の波はここまで来たのだなという感じです。普段使う分には不都合はないけれど、ちょっとしたときに駅員さんのいない不便さを感じることがあります。
 この駅の地べたを電車が走っていたころは、改札が北口と南口に分かれていました。故意か偶然かわかりませんが、表口っぽい北口には若い駅員さんが多く、駅舎も新しめできりっとした雰囲気、反対に裏口っぽい南口はけっこう年配の職員さんが多くて駅舎も古かったので、のんびりした雰囲気でした。インターネットなどなかったので、情報といえば時刻表やガイドブックなどの情報誌で、旅行の前には何冊も抱えて窓口に行き、駅員さんに「この切符が欲しい」「こことここを回るが周遊券とこちらの切符はどっちが得か」などを相談していました。時には駅員さんが知らない情報もあったりして、ちょっと優越感を抱いたこともありましたっけ。
 それに比べたら、いまやどれだけでも情報が取れるようになり、自分で考えなくても一番早い乗り換え、一番安く行ける方法、いくらでも出てきますが、もしかしたら旅の面白味の何%かは減ったのかもなと思います。まあ老眼で時刻表の字が見えなくなってきたのでちょうどいいんですが。
 そういえば南側のホームには、それは見事な桜の大木が何本も植わっていて、春のこの時期とてもきれいだったなあということも思い出しました。

鬼頭由美(相談員)